二人は雪砂漠を進みゆく。
「スフィアってよく寝るよね」
「そうかな」
「うん。私が歩いてる間、ほとんどいつも寝てるじゃない」
「ほとんどって程じゃないと思うんだけどな……」
「夢って見るの?」
一人分の足跡が、点々と続く。
「夢の定義にもよるなあ……夢ってさ、脳がそれまで見た光景を整理してる過程だ、っていいう定義があるんだよね。だとしたら見てるってことになるんだけど」
「でも私、見たことない光景、夢で見るよ」
「うん、そこが違うんだよね。スフィアは見た光景をそのまま再生するだけの夢しか見ないんだよ。本当、ただの記憶整理だね」
「でも見るんだ」
「一応ね」
「そっか……何かいいね」
実はめずらしい、紅古の無邪気な笑顔。
「そういうトコ、人に近いんだね。」
「――うん、そうかもしれない」
いつもとは少し違うスフィアの優し気な微笑み。
二人は雪砂漠を進みゆく。