メモ
2012.06.02
 蛇口をひねれば綺麗な水がいつでも出る日本は幸せな国である、とよく言われる。海外に出た経験をほぼ持たない私はこのありがたみを自ら実感したことがないけれど、知識としてはそれを知り、そしてこの事実を日本に住む人間であるからには当たり前に享受できるものとして受け止めてきた。

 この本を読んで、蛇口から流れる水を見る目が変わった。一定の基準で安全が保障された淡水がこんなにも簡易に入手できるというのはいっそ狐につままれた気分に陥りそうになるほど奇異な現実であると感じるようになっていた。

 世界の淡水は減っている。海水がある、と漠然と安易に思っていた自分がいたけれど、海水を淡水に変える技術はあまりにコストが高いらしい。現存する淡水が枯渇すればどれだけ海水があろうと陸上生物は死ぬ。そして淡水は過剰に取水され、浪費され、汚染され、総量を減らし続けている。

 非常に読みづらい訳文と重複のある内容、少々偏った視点で、この一冊をひとに薦めようとは思わない。けれど「水」の有限性、そしてその限界が近づいていることは、一度何かの方法できちんと知っておいた方がいい。
2012.05.29
 角川文庫でやってる横溝正史生誕百十周年記念の杉本一文復刻カバー版が非常に気になる。でも角川は江戸川乱歩の『芋虫』が伏せ字だらけで読めなかった(誇張でなく読めなかった)前科があるからなあ。ちょっと様子見。
2012.05.21
 『ヴォイド・シェイパ』を読んでいないのに『ブラッド・スクーパ』を買った。どうせそのうち読むから、なのだけど、買いだめは私の悪癖でもある。でも、なあ、このシリーズばっかりは出ているのを見たら買ってしまう。

 『スカイ・クロラ』は空だった。『ヴォイド・シェイパ』は山である。『ヴォイド・シェイパ』を読んでいない私はそれくらいしか知らない。けれど、『スカイ・クロラ』を読んで愛した人間がこの装幀を見て、ときめかなかったら嘘だろう。



2012.05.21
 職場近くの書店は全体の売り場面積が小さいわりにコミックコーナーが充実していて、小冊子タイプからシリーズの一巻をまるまる提供したものまで試し読み本が多い。そこでもう何ヶ月も前に出会っていて、買わねばと思いつつ節制生活に入っていたので(いや今も変わらず節制生活なんだけど)、今まで買わずに来ていた。昔に比べると格段に「早く読みたい」という欲は薄れさっている。いいものはいつ読んでもいい。急ぐ必要はない。と、思って何ヶ月でも先延ばしするようになった。

 一度読んだ試し読みから時間が経つうちにやっぱり脳内でいろいろ変化が起きてたみたいで、思っていたよりもきらきらした、目が大きくて光も多い絵柄だった(頭のなかでは『flat』みたいな素朴な絵になっていた)(こちらも試し読みしかしていないのだけど)。でも度の過ぎないきらきらさで、表紙のカラーイラストの精密な線と自然で柔らかい色合いもいい。
 そして話。どこに特別な何かがあるわけでもないんだけど、どんなものも丁寧に描けばよい作品になるという真実の典型のような心地よさ。母に捨てられて親戚をたらい回しにされる小学生の男の子と、彼を引き取ることになった厳しく口うるさい中年男。

 オノ・ナツメさん、水城せとなさん、佐原ミズさんは私が作家買いをする漫画家さんたちだけど、たしさんはそのひとりになるかもしれない。
 私には「この漫画家さんの作品は全部読みたい」と思う方と「私が読むこの漫画家さんの作品はこの一作だけでいい」と思う方がいて、たしさんはもしかしたら前者かもしれない。まだ、わからないけれど。

2012.05.20
 『ボーン・アイデンティティー』より『ボーン・スプレマシー』の方が面白かった。ちょっとびっくり。音楽の使い方とヒロイン不在だからかなあ。