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『50回目のファースト・キス』
原題:50 First Dates
制作:2004 年 アメリカ
監督:ピーター・シーガル
キャスト:ドリュー・バリモア / アダム・サンドラー / ロブ・シュナイダー / ショーン・アスティン / ダン・エイクロイド / ルシア・ストラス / エミー・ヒル / ブレイク・クラーク
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 やってくる観光客相手にゆきずりの恋を楽しむヘンリーは、ある日地元のカフェでひとりの女性に一目惚れする。彼女へ近づこうとナンパを始めるヘンリーは、すぐに彼女の秘密を知る――。

 あやういバランスでも、一度安定してしまったものを崩すのはとても恐ろしい。ヒロインのルーシーを変化のない日々に閉じ込めておきたいと思ってしまう彼女の父と弟の気持ちはすごくよくわかる。
 けどそれは“綺麗な監獄”に過ぎない。そんな繰り返しの日々からルーシーがようやく自分の人生を取り返し始めるのが、ヘンリーと出会ってから。

 ハワイへ旅行に来る観光客ばかりを相手に後腐れのない関係を遊ぶヘンリーは一見ろくでなしだけど、実は自分の夢に向けてきちんと生きてるし、ひとに対して最低限の誠意は忘れてないし、ルーシーには他の誰にも無理だろうというくらいの一途さを持っている。

 お互いに相手の事を一番に想いあうヘンリーとルーシーの関係は、素直に「いいなあ」と思う。彼女のためなら自分の夢も投げ出せるヘンリーと、彼のために自分の想いを押し殺すルーシー。
 楽観的で行動力あふれるヘンリーならではのエンディングまで含めて、普段恋愛映画を目の敵にしている私には悔しいくらいよくできたコメディ・ロマンスだった。

 コミカルなシーンとシリアスなシーンの落差が少し激しい映画だけど、絶妙なバランスを保ってるので安心して見ていられる。落ち込んだり悲しんだりしたくない時に、じわっと感動しつつ楽しみたい時におすすめしたい。
2011.04.15