メモ
2013.02.19
『きみに読む物語』(2004年 / アメリカ / 123分)
 完膚なきまでに恋愛だけが描かれた映画である。と、いうことは、ほとんどイコールで私にとって意味を成さないということだ。山田詠美さんの小説を読んで、「性は生身の体の間でしか価値を持たない」と言った。どうやら、恋愛も同様の位置に来ているらしい。

 美しい自然の描写に、『レオポルド・ブルームへの手紙』を思い出した。あの映画が私にとってどれだけ特別かをふたたび実感する機会となった。

 自分の体の自由が効かなくなってからの人間は美しくはいられない。その部分をすべてすっとばして美しくしか描かないのは、制作側のずるさだと思う。