メモ
2013.03.09
 下北沢のセレクトブックショップ、「本屋B&B」で今日開催された「震災復興を問いかける 文字の力、映像の力」に行って来ました。
 作家の池澤夏樹さんと映画監督の森元修一さんによる、3.11、そして3.11によって生まれてきた映画、本のトークイベントです。森元さんは震災から二週間足らずのうちに被災地に入ってハンディカムで映像を撮り、池澤さんも幾度も被災地に足を運んでいます。

 お二人についての簡単なご紹介の後、森元さんが撮って帰った映像による映画『大津波のあとに』のダイジェスト版が上映されました。音楽もナレーションもなく、津波が街をさらって行った後、まだようやくガレキの片付けが進み始めたところの被災地が映されます。そして、被災地で働く人、津波にさらわれた我が子の遺体を探す父親。
 正式版は明日、さらに来月以降にも上映予定があり、私は来月に観に行くつもりでいます。

 映像から何を思ったかは、まだ整理がつかないのですが、「生き残った人々は生きなければいけないのだ」とふと思いました。「地震が――」とカメラを構える森元さんが言った後、「津波が――」と一人娘を亡くされたお父さんが返したのが印象に残っています。津波に我が子をさらわれたあの方にとって、3.11は地震よりも津波であるのだろうと思いました。2週間が経って、まだ我が子には会えず、しかし2週間の間にもあのお父さんは食べ、飲み、眠っているはずです。何もかも失って、ガレキと泥だらけになった自分の街で、それでも生き残ったから生きなければならない。それは覚悟や背負でなく、ただそこにある現実として。

 イベント終了後、池澤夏樹さんのサイン会がありました。『春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと』を購入しサインを頂きました。
 本屋B&Bは魅力的な書店で、「ネットで見かけて気になり『読む本』リストに入れたものの近所の中規模書店では在庫のない本」、がたくさん見つかりました。ついつい、『晰子の君の諸問題』(佐々木中/河出書房新社)、『店員』(バーナード・マラマッド/文遊社)を買ってしまいました。どちらも、初めて見る本、初めて知る作家でした。
 本は、ルミネカードの会員割引を使って安く買える時にまとめ買いすることが多いです。財布事情には勝てません。普段は、気になった本があったらタイトルをメモして書棚に戻すことがほとんどです。
 「今ここで会えたことのうれしさ」から「ここで買いたい」と思いレジまで運ぶ体験はいつぶりだろうと思います。