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モーリス
Maurice
1987年  イギリス
監督 : ジェームズ・アイヴォリー
キャスト : ジェームズ・ウィルビー / ヒュー・グラント / ルパート・グレイヴス / デンホルム・エリオット / サイモン・カロウ
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 1909年のイギリス、同性愛が禁忌であった時代に、モーリスは男性との愛の世界に足を踏み入れた。モーリスは大学時代に、最初の恋人となるクライヴに出会い愛を告白された。誘われる形で同性愛の世界に入っていったモーリスは、恋人であるクライヴが同性愛者であることへの後ろめたさと恐怖感 (当時同性愛は犯罪だった) から女性と結婚して以後も、同性愛者であり続けた。

 追記 (08.01.26)。
 高校時代にたしか一度観ていると思うのだけど、うろ覚えだったのでもう一度観てみた。
 モーリスとクライヴは、学生らしい反体制行為のひとつとして同性愛の世界にのめりこんでいく。けれど、彼らのあいだに性行為はなかった。それは、学生のちょっとしたお遊びでは済まなくなってしまうからだ。超えてはいけないラインを踏まえたイタズラというのは、おそらく多くの学生が今も昔もやっていることだ。

 しかしモーリスは、“正常” な大人になっていくクライヴとは決別する。同性愛の道をひとりで歩き出したモーリスが、私にはどうしても幸せだとは思えなかった。モーリスが、自分が同性愛者であることをクライヴに認めてもらう必要はないと、世界に認めてもらう必要はないと、周りを切り捨てて自ら日陰の存在に閉じこもってしまったからかもしれない。モーリスがクライヴを見限って別の世界へ向かったのか、クライヴがモーリスを同性愛の世界に置き去りにしてしまったのか、私にはまだ判断がつかない。

 きっと、世間から見た彼らは、分別のあるクライヴと、うまく大人になれなかった不幸なモーリスという位置づけになるのだと思う。
2000.04.17