Torch Song Trilogy
1988年 アメリカ
監督 : ポール・ボガート
キャスト : アン・バンクロフト / ハーヴェイ・フィアスティン / マシュー・ブロデリック / ブライアン・カーウィン / カレン・ヤング
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ゲイでドラァグクイーンのアーノルドと、彼の家族や恋人の姿を描いた映画。初めての恋人であるエド、永遠の愛を感じたアラン、そして息子がゲイであることを頑として受け入れない母親。
時代はまだまだゲイへの偏見があふれている。そのなかでアーノルドが求めたのは、ゲイとして生きることを認めてくれることではなく、ゲイも人間であることを認めてくれることなんじゃないかと思う。それはたぶん、ゲイが受け入れられ始めた現代の日本に住むゲイの人々より、さらに切実な願いだ。
ゲイを否定する人物の筆頭が実の母親なのだけど、後半、墓参りのからラストシーンまでのあいだに、この映画の大部分が集約されていると思う。母親のことばがアーノルドにのしかかる感じが耐え難くて、ずっと泣き通しで観ていた。
実の息子がゲイだっていいじゃないか、とは口が裂けても言えない。それは、母の信念やアーノルドへの愛情を否定することになるからだ。ただ、ただアーノルドのことばを、生き方を、否定はしないでいて欲しいと願う。
それがほんの少し叶えられたエンディングだから、私はこの映画を好きになれた。