Le Temps Qui Reste
2005年 フランス
監督 : フランソワ・オゾン
キャスト : メルヴィル・プポー / ジャンヌ・モロー / ヴァレリア・ブルーニ=デデスキ / ダニエル・デュヴァル / マリー・リビエール
余命三ヶ月を宣告された若手フォトグラファーのロマン。彼は延命治療を拒み、ひとりきりですべてを抱えたまま死への準備を始める。病気を打ち明けないまま手ひどい傷つけ方をして恋人と別れ、姉とぶつかり、そして祖母へだけ命がもうじき終わることを告げた。彼が選んだ、生と死のかたち。
死と生という、誰もが持つ大きなテーマだけを見つめて撮られた映画。傷つけないために病気を周囲に知らせない、という主人公の男の行動は、私から見ると、自分が傷つきたくたいがための身勝手な行動に思える。けれど、彼自身は決して、周りを見ていないわけでも、気づかいを持っていないわけでもないのだと思う。ただ、彼にとっての優しさとは、周囲に死を悟らせないことだった、というだけのことで。
たくさんの要素がつまっている映画なので、たぶん、観るたびに印象が変わるのではないかな。
一番印象深いのは、ゲイであるロマンの恋人の男性。特別美形なわけではないのだけれど、別れをつげられたシーンとか、その後になって再会した場面とか、ごくありふれた恋人という役柄の雰囲気がとてもナチュラルに伝わってきて、ああ、現実ってこんな風だよなぁ、なんて思ってしまった。