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ブロークン・フラワーズ
Broken Flowers
2005年  アメリカ
監督 : ジム・ジャームッシュ
キャスト : ビル・マーレイ / ジェフリー・ライト / シャロン・ストーン / ジェシカ・ラング / ティルダ・ウィンストン
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 かつて多くの女性とつきあってきたドン・ジョンストン。コンピュータ関連の事業で大金を稼いだ彼だが、ある日、つきあっていた女性に家を出て行かれてしまう。その朝、彼宛ての一通の手紙が配達されていた。ピンクの封筒に便箋、赤いインク。差出人の名前はなく、自分は20年前にドンと付き合っていて、そのときの息子が19歳になったという。おせっかいの隣人につつかれて、彼は差出人を探す旅行に出た。本当に彼に息子はいるのか、母親は誰なのか?

 ドンは隣人に、「探してこい」「あそこへ行ってこい」と指図されるたび、「いいよ」「もうおしまいにする」と、とてもやる気のない返事ばかりしている。それでも結果的には指示に従っているし、自分の息子のように思える青年を見つけると、思わず声をかけたりしている。
 この微妙な心のバランスは、二十代女である私にはとても理解できないのだと思う。観ていても、突然昔の恋人が訪ねてくる女性側の視点で観ていた。

 映画としては、主演のビル・マーレイが素晴らしい。ほとんど表情が動かないし大声をあげることもない。淡々としているのに、どうしようもない情感がじわじわと染み出ている。まるで素のような雰囲気のマーレイの演技が、この映画を底から支えていると思う。
2008.05.07