2008年 日本
監督 : 石井克人
キャスト : 草なぎ剛 / マイコ / 加瀬亮 /広田亮平 / 三浦友和 / 堤真一
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温泉町を行き来して按摩として生計を立てている徳市と福市。彼らが仕事場である温泉町で出逢ったのは、東京から来た謎の女性だった。彼女に心を寄せる徳市だったが、その一方で温泉町では次々と盗難が発生し――。
1938年に清水宏という監督が撮った「按摩と女」という映画のカバー。清水宏という監督はこの映画を観て初めて知ったのだけれど、どうやらとても評価の高い監督らしい。その原作を忠実に再現したとのこと。
古いものだからいい、という考え方は好きじゃないけれど、やっぱりその時代だからこそ出せる雰囲気、人のしぐさ、表現できるもの、というのはあると思う。この映画自体は決して嫌いではないのだけれど、これを観るなら原作である「按摩と女」を観ればいいかなぁと思ってしまう。
それでも劇場で観てしまったのは、ポスターの草なぎさんの佇まいにどうしようもなく惹かれたから。後ろにヒロイン役の女優さんも写っているのに、どうしようもなくひとりぼっちに見える。特別いい俳優だと思ったことはないけれど、今回の役にはなかなかハマっていたと思う。ただし、それ以上にハマり役だと思ったのは福市の方。今回出演された俳優さん方全員のなかで、一番ぴったりだったんじゃないかと思う。
ちなみに、山登りの男子学生グループと女学生グループの応酬のシーンの女学生たちの捨て台詞がなんだかとても好き。どんなことでも笑顔でしなやかにしたたかに受けて立ってしまうような、日本の女性の強さがさりげなく、でもしっかりと現れている感じ。
それと、めくらという言葉。徳市も福市も自分のことをめくらと呼んで、周りの人々も彼らをそう呼ぶ。そしてそこに、悪意がない。目が見えないからただその通りに呼ぶだけ。現代にはないそういう言葉の扱われ方が好きだった。