2008年 日本
監督 : 長崎俊一
キャスト : サチ・パーカー / 高橋真悠 / りょう / 大森南朋 / 高橋克実
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中学校に入って間もないまいはある日母親に、「私はもう中学校へは行かない」と宣言する。そんなまいに母は、しばらくのあいだ祖母の家で暮らすことを提案した。まいが大好きなおばあちゃんの家で過ごした、夏の一ヶ月――。
原作の小説を初めて読んだのは小学生のころで、それ以来何度か読み返している。映画化という話を聞いたときはびっくりした。
映画が原作を超えることはないの思っているので期待はせずに観にいったのだけど、サチ・パーカーさんの演じるおばあちゃんの存在感が素晴らしかった。どのキャストもいい配置だったと思うけど、パーカーさんのやわらかくて包み込むような笑顔や言葉の発し方がとてもいい。他の点に関してはどうしても原作と比べて見劣りするなあ、と感じてしまうけど、パーカーさんだけはどちらがいい、ではなくどちらもいいと思えた。
きっと多くの人がうっすらと涙を浮かべる映画ではないかなと思うのだけど、私が一番じんと来たのはおばあちゃんが話したワイルドストロベリーのエピソード。野いちごの絨毯の真ん中にうずくまるおばあちゃんの姿に涙があふれた。
多くの人が涙するのはエンディングのシーンだと思うのだけど、そちらは原作を良く知っている身として充分に心の準備ができていたのでただ静かに受け入れた感じ。野いちごのエピソードに限らず、映画ではおばあちゃんとおじいちゃんのつながりの方にぐっとくることが多かった。それは、おばあちゃんがまいの祖母としてでなく、女性としての一面をのぞかせるのが新鮮だったからかもしれない。小説では、おばあちゃんはあくまでもおばあちゃんだったので。