August Rush
2007年 アメリカ
監督 : カーステン・シェリダン
キャスト : フレディ・ハイモア / ジョナサン・リース=マイヤーズ / ケリー・ラッセル / テレンス・ハワード / ロビン・ウィリアムズ
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風にそよぐ草の音、ドアベルの音、月の光の音。孤児院で育った少年エヴァンには、いつでも音楽が聞こえている。今でも両親が自分を探していると信じるエヴァンは、自分も両親を見つけ出そうと、NYのマンハッタンへ向かった。その一方で、チェリストである母とバンドマンである父も、惹かれあいながらも離れ離れになった過去を忘れられず、エヴァンと時を同じくして互いを探そうとしていた――。
ものすごくシンプルな筋立てだし実際にはありえないような偶然がいくつも重なるし、映画に意外性や驚きを求める方、現実性のないストーリーには冷静につっこんでしまう方には向かない映画だと思う。実際には起こりえないけど映画だしありだよね、と思える方向け。こういう映画は、いっそのことファンタジーや童話と思って割り切ってしまった方が楽しめるんじゃないかなと思う。
音楽というのは文字や映像よりもストレートに感覚に訴えてくるものだと思っていて、たくさんの音にあふれたこの映画はそれだけでも楽しめてしまう。特に、バンドサウンドとチェロの音が重なるシーンがあるのだけど、そこがとても好き。ジャンルがちがう楽器同士が協演するのを聞く機会というのは少なくて、その新鮮な違和感がここちよかった。
もちろん、エヴァンの演奏シーンもどれも気持ちいい音だった。エヴァンが初めて弾いたギターの音は聞いていて笑顔があふれて仕方がなかった。ほかにも、思わず顔がほろこぶシーンが随所に出てくる。
奇抜なストーリーも演出もなくて、ただやさしく人と人のつながりを描く映画。こういう映画ばかりだと食傷してしまうけれど、やっぱりたまには、こんな映画で快い時間を持ちたいなぁと思う。単純な感動ものではあるけど、それは別に悪いものじゃないと思う。
個人的には、エヴァンを拾って彼の才能を初めて見出したウィザードがとても人間くさくて印象深い。