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ぼくの大切なともだち
Mon Meilleur Ami
2006年  フランス
監督 : パトリス・ルコント
キャスト : ダニエル・オートゥイユ / ダニー・ブーン / ジュリー・ガイエ
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 あまりに利己的なフランソワは、誕生日パーティの席で友人と思っていた面々から「お前の葬式には誰も行かないよ」と言われ愕然とする。腹のたったフランソワはその場で「十日後に親友を連れてくる」という賭けをしてしまったが、友人と思っていた人々の元を訪れても誰も彼もが自分とフランソワは友達ではないと言う。あせるフランソワは、誰とでもすぐに仲良くなるタクシードライバーのブリュノと偶然出会い、彼に人と打ち解ける方法を教えてくれと頼み込む――。

 人物像もちょっとしたワンシーンもユーモラスで、そこかしこに笑いどころがある。だから、コメディとして観ることもたぶんできる映画。
 ただ、フランソワのあまりにも人間の感情に鈍感なところとか、ブリュノの対人関係に対して器用貧乏なところとか、実は切実なテーマがきっちり盛り込まれてる。
 ただ笑わせるだけのくだらないコメディじゃなくて、芯のあるストーリーにユーモアを交えてうまく見せるのはとてもフランスらしい感じ。日本でこういう映画をつくったら、もっともっとひねりのない、リアリティのない映画になってしまいそう。

 一番印象深いのは、フランソワが賭け相手たちにブリュノを紹介したときの女性のせりふと、ラストシーン。

 タイトル通り友情の話だけど、男くさい熱血話ではなくて(そういうものが悪いわけではない)、穏やかに時間と空間を共にするのが心地いいと思える相手との友情を取り上げた映画。実は、こういうのって少ないのかも。一生に一人でも、こんな人と会えたらいいよね、と素直に思う。
2008.07.04