Atonement
2007年 イギリス
監督 : ジョー・ライト
キャスト : キーラ・ナイトレイ / ジェイムズ・マカヴォイ / シーアシャ・ローナン / ロモーラ・ガライ / ヴァネッサ・レッドグレイヴ / ブレンダ・ブレッシン
>> goo 映画
小説や演劇の脚本を書くことが好きな13歳のブライオニーは、秘かな親しみを覚えていた使用人のロビーと姉セシーリアの情事を目撃してしまう。性への嫌悪感からブライオニーはとりかえしのつかない嘘を吐き、ふたりを引き離してしまう――。
今年観た映画のなかで一、二を争う秀作。これと競るのはスルースくらい。ストーリーはもちろんのこと、映画としてのバランスの良さも素晴らしい。オープニングから引き込まれて、一瞬も意識と視線をスクリーンからそらさないまま観終えてしまった。
メインの登場人物はブライオニー、セシーリア、ロビーの三人。この三人のうちだれかの視点に固定するのではなく、それぞれの視点から状況が撮られ映画は進んで行く。だからこそ、三人のキャラクターの立ち方がものすごく濃密。
深く印象的だったのは、引き離されたセシーリアとロビーがようやく数年後に再会し、レストランで手を重ねるシーン。たとえばキスシーンとかベッドシーンよりもずしんとくるのは、自分がそれなりに年をとったからなんだと思う。
そして、対比として出したのかはわからないけれど、成長したブライオニーがけが人の手を取るシーン。その相手をブライオニーが愛しているのではないのだから当然なんだけれど、その行為には心の動きはなにも付いてこない。そこで私は、セシーリアとロビーが本当に人を愛することを知っている人間であり、ブライオニーはそれを知らない人間なのだと鮮やかに見せられた気分になった。
レビューを見ていると、「タイトルのわりにブライオニーはつぐないをしていない」という意見があるけれど、私としては「ブライオニーの行いはつぐなうことなど到底できない」というのがこの映画の主題なのじゃないかなと思う。
ブライオニーがどうしても避けたかった結果こそが現実で、それを観客にまざまざと見せ付けるあたり、監督には容赦がないな、と思う。そういう映画だからずっしりと心に残るのだけど。ぜひ原作小説も読みたい。
あと、少しだけ俳優の話。ロビー役のジェイムズ・マカヴォイがとてもセクシーでファンになりそう。彼が出ているというだけで、「ウォンテッド」を観ようかと思ってる。