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あの日の指輪を待つきみへ
Closing the Ring
2007年  イギリス / カナダ / アメリカ
監督 : リチャード・アッテンボロー
キャスト : シャーリー・マクレーン / クリストファ・プラマー / ミーシャ・バートン / ピート・ポスルスウェイト / ブレンダ・フリッカー / ネーヴ・キャンベル / グレゴリー・スミス
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 父の死に涙一つ見せない母エセルに、娘のマリーは激しく憤った。けれどエセルはとりつく島もなく部屋に閉じこもってしまう。そしてそんなエセルにアイルランドから一本の電話がかかってきた。電話をかけてきた青年は、エセルとテディという名前の刻まれた指輪を見つけたという――。

 ひとつの指輪がつなぐ、1991年のアメリカと50年前の戦中時代。
 エセルと娘のマリー、指輪を見つけたアイルランドの青年、そして50年前、美しいエセルと彼女が心惹かれたテディ、そして彼の友人たち。それぞれがゆっくりとつながり合いながら、映画は進んでゆく。

 実はそれほど印象的な映画ではないのだけど、ストーリーが進むにしたがって見えてくる50年もの間のエセルの心の動き、彼女が一言も洩らすことなく自分のなかに抱えてきたものを思うとものすごい感慨深さに襲われる。
 周りには彼女を愛する人、気にかける人がいたのに、エセルはその人々では満たされない。ただ壁の向こうを見て過ぎ去らせていった50年という時間が、1991年のエセルの顔によく現れている。ストーリーよりも、エセルというたった一人の女性のために観た映画だったと思う。
2008.07.23