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白い肌の異常な夜
The Beguiled
1971年  アメリカ
監督 : ドン・シーゲル
キャスト : クリント・イーストウッド / ジェラルディン・ペイジ / エリザベス・ハートマン / ジョー・アン・ハリス / パメリン・ファーディン
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 南北戦争の末期、南部の深い森のなかの女学院の生徒のひとりは、きのこ採りの最中に負傷した北軍兵を見つけた。女学院で介抱するものの、敵軍兵は南軍に引き渡さなければならない。傷が癒えないまま南軍に引き渡すべきかを迷ううち、女学院の女たちはそれぞれに、負傷した北軍兵に複雑な想いを抱きだした――。

 テレビで放送していたので、なんの気なく観てみた。吹き替えだったのが残念だけれど、女たちのどろどろとした感情や欲望の描写がすさまじく真に迫っていてうならされた。強烈に印象に残る映画。

 院長、女教師、年長の女生徒、負傷した兵・マクバーニーを最初に発見した幼い少女。マクバーニーと直接大きくかかわるのはこれらの女たちなのだけど、それぞれのマクバーニーに対する感情の描き出され方と、その移り変わりがとてもなまなましい。
 愛情とその裏返しとしての憎悪、嫌悪感と逆らいがたい誘惑、かすかな恐怖心とそれでもわき起こる人としての情愛。
 状況として見れば男ひとりに女が大勢でいわゆるハーレム状態なのだけれど、飢えた女たちのなかに放り込まれた男ははたして無事でいられるのか? この映画の状況は特殊だけれどそれを抜きにしても、女性の欲の恐ろしさは底なしなのではないか、男性はそれにかなうべくもないのではないかなんて考えてしまう。
 救いらしい救いといえば、ラストの食事シーンでの院長の葛藤する表情くらいだろうか。

 女としては興味深くところどろこ共感しながら観られる映画だけど、男性が観るとどうなるのだろう。
2008.08.06