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ワールド・オブ・ライズ
Body of Lies
2008年  アメリカ
監督 : リドリー・スコット
キャスト : レオナルド・ディカプリオ / ラッセル・クロウ / マーク・ストロング / ゴルシフテ・ファラハニ
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 優秀なCIAのスパイであるフェリスは、本国に構えるエド・ホフマンを上司とし行動している。米国と欧州で無差別テロを計画するアル・サリームを押さえるために、ヨルダン情報局のハニと協力体制を取りつつ作戦をすすめていく。

 現地の情報提供者と共に行動し危険に身をさらし続けるフェリス、ワシントンから妻との会話や子どもたちをあやすかたわらに携帯でフェリスに指示を下すエド、決してスーツ姿を崩さずフェリスにひとつの嘘も許さないハニ。
 目的は同じアル・サリームの捕獲でありながら、三者三様の姿ははっきりと色がちがう。それぞれの立場を強調し過ぎているんじゃないかとは思うけど、その分わかりやすい。

 自分が正義であると思っているエドと、正義ではないけれど出来る限り正義でありたいと思い行動するフェリス。
 映画中、三者のなかで犠牲を強いられるのは常にフェリスばかりだ。エドほど傲慢にはなれずハニのように冷酷にもなれないフェリスは、理想がありながら自らの思うように現実をコントロールできないことに怒りを抱え続けている。義憤というほど綺麗なものではない。ただ、自分の力の及ばないことに対する苛立ちだ。
 それでもフェリスは一度たりと立ち止まらず、屈することもない。これは確かな強さだと思う。

 騙し騙されのスリルを楽しむサスペンス映画ではない。残念ながら社会派映画でもないと思う。対テロがテーマのアクション映画だ。そういう観方でいけば充分に楽しめた。
 テロに関する社会派映画という意味では「グアンタナモ、僕達が見た真実」を超えはしない。というよりも、映画は報道ではないのだからこういうリアルタイムかつシビアなテーマを虚飾なく伝えることはできないし、お門違いでもあると思っている。
2009.01.08