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モーターサイクル・ダイアリーズ
The Motorcycle Diaries
2004年  イギリス
監督 : ウォルター・サレス
キャスト : ガエル・ガルシア・ベルナル / ロドリゴ・デ・ラ・セルナ / ミア・マエストロ
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 キューバ革命の英雄であるエルネスト・チェ・ゲバラがフィデル・カストロと出会う前、一青年として親友アルベルトと共にオートバイで南米大陸縦断した旅をえがく。中古オートバイでの旅のなかで、エルネストはさまざまな境遇の人々と出会う。

 前からレンタルショップで見かけては気になっていたのだけど、内容はまったく知らなかった。「チェ 28歳の革命」のレビューでこちらもチェに関する映画だと知って観てみた。

 旅の相棒であるアルベルトの楽天的で融通の利きすぎる性格とは反対に、エルネストはとても生真面目な青年としてえがかれている。
 旅の途中で出会う政府から不当な扱いを受ける人々やハンセン病患者たちに対してエルネストが抱くのは、「自分ができることは何だ?」という思いだ。この映画を観る限り、責任感が強いというよりも現実に妥協して自分のなかで折り合いをつけるということがとにかく出来ない人だったのではないかと思う。

 けれど、それだけならば不器用な男だというだけで片付いてしまう。理想と現実の折り合いをつけられない人間なんていくらでもいる。
 チェが異質だったのは、平凡な人々が現実に合わせて自分の信念をゆるやかに曲げていってしまうところをそうせず (あるいはそうできず)、現実の方を変えようとしたことじゃないだろうか。「何かしなければ」という自分の思いに、行動までもが付随していたのがチェが今もなお崇拝される理由ではないかという気がする。
 100の理想に100の行動がついていく人はいない。精神と肉体のバランスがとれている人など滅多にいない。愚直だとも思うけれど、チェはそのバランスが高いところでとれている稀有な人物だったのではないか。
2009.01.15