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『神の慰めの書』 マイスター・エックハルト
訳:相原 信作
初版:1949年 筑摩書房
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 13 世紀から 14 世紀にかけて生きたドイツのキリスト教神学者であり神秘思想家のエックハルトの論述・説教。

 まず最初に、私は神の存在を信じていない人間です。そんな人間が感じたことだということをどうかご了承ください。

 序から解説にいたるまで一通り読んだけれど、理解できないまま文字を追っただけの部分も多い。キリスト教に対する知識はほとんどないので、なおさら理解することは難しかった。そのなかからかろうじて読み取ったいくつかのことのなかで一番印象に残っているのは、神を受け入れるためには神以外のすべてに対して無でなければならないということ。

 完璧ななぐさめはただひとつ神のなぐさめのみで、それを受けるにはまず被造物=神以外のあらゆるものから遠ざからなければならない。空となり無となった魂にのみ、神はやって来ることができる。

 神を迎えるために神以外のものはすべて退けなければならないということなのだけど、私にはそうやってまで神のなぐさめを求める理由がわからない。
 私が宗教に共感することがないのは、救いやなぐさめを求めようという気持ちがないからなのだと思う。多くの人が救われている神という存在に関心はあるけれど、自分自身が神に救われたいとは思っていない。この本も、自分への救いのためではなく関心ある一分野にかかわる著作として一歩引いた視点で読んでいた。
2009.11.09