メモ
2006.10.04
 否定とはまったく次元のちがう話ですが、私が好きな夏目漱石は「門」であって、「吾輩は猫である」はまた別物だという感覚がありました。「吾輩は猫である」を読んでいる間中、ずっとありました。軽妙な語り口に、そう感じていたんです。けど、違ったようです。最後に、ズドン、と来ました。
 夏目漱石が描くのは、生きている人にほかならない。心の底を叩くとする悲しい音を、これが人だと、これだから人だと、そう言っている。
 どうしたところで抜け出せないしがらみに囚われている間を、生と呼ぶんでしょう。