メモ
2006.10.16
 「スノードーム」を読みました。エルンストの歪んだ生があまりに切なく、けれどやはり許しがたく、震えた心が落ち着きません。しかし、エルンストは確かに引き金を戻す方法を探し続けたのです。それはクリスに受け継がれ、そしてチャーリーが引き受けたのだと、チャーリーはついに知るのだと、信じたいのです。
 ここ十日ほどで読んだ4つのシアラーの作品の中で、「スノードーム」を最後に読もうと直感した自分の感覚を、その確かさを、嬉しく思います。

 正直なところ、石田さんの訳は苦手でした。読んでいる間中、それを残念に思っていました。けれど今は、それ以上に、この物語を日本語にうつしかえ、送り出してくれたことに感謝の気持ちです。

 ずっと、沙々雪に海外作品を載せるか、その方向性に迷っていました。自分が読むなかに海外作品は極端に少なく、苦手意識も強かったためです。けれど、「スノードーム」を読み終えた瞬間、シアラーのページを作ろう、と思いました。沙々雪は、私が読んだ本を記録してゆく場所です。この物語をその場所に加えないなら、沙々雪というサイトを続けている意味がない。そう感じました。
 一冊の本を読む間にも、普段なら映画を見たり、ぱらぱらと漫画をめくったりします。「スノードーム」は、そんな他の作品の侵入を拒んだ本でした。「スノードーム」を読んでいる間中、私は不用意なことをしてこの世界を壊すことが、本当に恐ろしかったのです。