メモ
2007.07.17
 昼過ぎに「奉教人の死」を読み終え、それからほぼ休みなく読み続けて、「宇宙でいちばんあかるい屋根」も読了してしまいました。こんなに一日中本を読んでいた日は久しぶり。

「宇宙でいちばんあかるい屋根」は、数年前にハードカバーで見つけてから、文庫化するのをずっと待っていた小説でした(文庫化してから一年経った今になってようやく読んでいるのだから説得力がないけれど、本当に心待ちにしていたのです。読書スピードが追いつかなかっただけで…)。だから、読み出して驚きました。ものすごく相性が合わない感じがしたのです。私はかなりプライドの高い子どもで、いまだにその記憶がつよいものだから、子どもがばかにされるというシーンに反射的に反感を持ってしまう。なので、星ばあのつばめに対する態度がどうしてもうまく消化できなかった。

 だから、「宇宙でいちばんあかるい屋根」を好きな小説だとは言わない。でも、星ばあが“だれ”だったのかがわかった瞬間やつばめが星ばあに語りかけたことば、それぞれに心がうずいたのも確かです。
 中学二年生のつばめの視点ですすむ物語は、一見とても穏やかに見える。それはたぶん、つばめがずいぶんクールな考え方の子どもだからだろう。けれど彼女の周りで起こっているものごとは、並大抵でなくヘビーだ。それをあえてストレートに書かず、あくまでもつばめの恋心だとか星ばあとの空間だとか、やわっこいものや非日常を軸に描く。これはなかなか難しい。読むほうも難しい。問題がそこに転がっていれば、そればかりに意識を向けたくなってしまう。

 とびきり好きな本にも、特別な本にもならないだろうと思う。けれど、たぶんいつも、心のどこかに住み着き続けていく気がする。