「ななつのこ」をおすすめ頂き、ありがとうございました。昨日読了しました。ほんとうは昨日のうちに感想を書きたかったのですが、時間がとれず今日にのびてしまいました。
ひたすらノスタルジックに描くことも、やわらかく暖かく描くこともできる題材とストーリーだと思うんです。けれど、加納さんはそうしない。主人公が暮らしているのはあくまでも現実と地続きの平凡な世界で、ほほえましいだけではない。読み始めたときは、想像していたのと違う展開の仕方に正直とまどいました(タイトルや表紙イラストから、やさしさで満ち満ちた小説を想像していたのです)。
けど、最後まで読み終えて、なんともいえない心地よさに包まれました。ああ、駒子が生きているのは現実だから、いやなことだって理不尽だっておこる現実だから、彼女が出会ったささやかなミステリーを日々のなかの潤いと感じられるんだな。そんな風に思ったのです。まゆちゃんと世界を共有できる底の深さをもつ駒子に、確かな憧憬を感じてしまいました。
…さて、そして昨日から「となり町戦争」を読み始め、今日読み終えました。刊行当時から目に留まっており、文庫化したのを知ってから読もう読もうと思い続け、ようやく手をつけられました。
アマゾンのレビューでつけられた星の数からして、賛否両論のある作品であることはうっすらわかっていました。そして私は、そういう作品に対して『否』派に入ることが多い傾向にあります。だから、“とりあえず読んでおこう”という程度の気持ちで読み始めました。けれど、やはり例外というのはあるものです。いい小説じゃないか、というのがまず第一印象でした。
心地いい小説とか、あっけらかんと面白い小説よりも、どこか不安定で、ひとことではまとめられないような小説に反応してしまうタチの私としては、着想の面白さと不必要に盛り上がらない文体にぐっと心を持っていかれました。ここは気持ちのいい場所なんですよ、とやさしく頭もなでてくれる小説は必要ですが、ここにいてもきっと落ち着かないと思いますよ、と飾ることなく淡々と伝えてくれる小説もまた、私にとっては気持ちのいい存在なのです。
三崎さんの他2作品のあらすじを見ると、どうも「となり町戦争」と根底に流れるものはおなじ小説のようです。もし、彼が今とはまた違った視点に脱皮することがあったなら、そのときに書く小説は、とんでもない名作になるような予感がします(…と、とんでもなくえらそうな言い草ですが、直感的にそう感じてしまったのです)。
ひたすらノスタルジックに描くことも、やわらかく暖かく描くこともできる題材とストーリーだと思うんです。けれど、加納さんはそうしない。主人公が暮らしているのはあくまでも現実と地続きの平凡な世界で、ほほえましいだけではない。読み始めたときは、想像していたのと違う展開の仕方に正直とまどいました(タイトルや表紙イラストから、やさしさで満ち満ちた小説を想像していたのです)。
けど、最後まで読み終えて、なんともいえない心地よさに包まれました。ああ、駒子が生きているのは現実だから、いやなことだって理不尽だっておこる現実だから、彼女が出会ったささやかなミステリーを日々のなかの潤いと感じられるんだな。そんな風に思ったのです。まゆちゃんと世界を共有できる底の深さをもつ駒子に、確かな憧憬を感じてしまいました。
…さて、そして昨日から「となり町戦争」を読み始め、今日読み終えました。刊行当時から目に留まっており、文庫化したのを知ってから読もう読もうと思い続け、ようやく手をつけられました。
アマゾンのレビューでつけられた星の数からして、賛否両論のある作品であることはうっすらわかっていました。そして私は、そういう作品に対して『否』派に入ることが多い傾向にあります。だから、“とりあえず読んでおこう”という程度の気持ちで読み始めました。けれど、やはり例外というのはあるものです。いい小説じゃないか、というのがまず第一印象でした。
心地いい小説とか、あっけらかんと面白い小説よりも、どこか不安定で、ひとことではまとめられないような小説に反応してしまうタチの私としては、着想の面白さと不必要に盛り上がらない文体にぐっと心を持っていかれました。ここは気持ちのいい場所なんですよ、とやさしく頭もなでてくれる小説は必要ですが、ここにいてもきっと落ち着かないと思いますよ、と飾ることなく淡々と伝えてくれる小説もまた、私にとっては気持ちのいい存在なのです。
三崎さんの他2作品のあらすじを見ると、どうも「となり町戦争」と根底に流れるものはおなじ小説のようです。もし、彼が今とはまた違った視点に脱皮することがあったなら、そのときに書く小説は、とんでもない名作になるような予感がします(…と、とんでもなくえらそうな言い草ですが、直感的にそう感じてしまったのです)。