メモ
2007.08.18
「幽霊人命救助隊」を読みました。書店で平積みにされていて、ポップの文面に惹かれて読んでみたもの。いやはや…面白かった。読む前の予測値を軽々と飛び越える面白さ。思わぬときにこんな小説にぽろっと出会ってしまうから、本を読むのはやめられない。

 ばらばらの年代に自殺した4人が、天国へ行くために神様からつきつけられた条件。それは、7週間のうちに100人の自殺者を救えというもの。神様から与えられた道具を使い、あれやこれやの方法で、4人は自殺者を救っていく。

 あらすじは、たぶんこれで充分だろう。荒唐無稽かもしれないが、とてもシンプルだ。このシンプルな筋立てだからこそ、描かれる自殺者ひとりひとりに存分に焦点をあてられる。
 言い忘れてはならないのは、この小説は重苦しくないということ。自殺というテーマを扱おうとすると、とにかくリアル性にこだわって、読むだけでしんどい作品になりがちだ。でも、この小説はそうじゃない。自殺に対して決して軽々しく向き合っているわけではないのに、読者に余計な負担をかけさせない。重いテーマをきちんと扱いながら重々しく書かない。なんて理想の作品像だろう。

 ちなみに、読後にアマゾンで高野さんの名前を検索してみたら、「13階段」を書いていて心底びっくりした。「13階段」は出版されたときからずーっと気にしている小説で、今の読みたい本リストの中にもきちんと書いてある。なのに、「幽霊人命救助隊」が「13階段」の作者だとはちっとも気づかなかった。「幽霊人命救助隊」は衝動買いだったから作者名なんてろくに見ていなかったし、「13階段」にしてもタイトルのインパクトにばかり目が行っていて、作者名を覚えていなかった。
 いやはや、思わぬところでつながってしまったことにびっくり。