メモ
2008.04.12
 9日に、「ICO」を読了しました。
 正直なところ、宮部さんのファンタジー小説の文体が私はあまり得意ではなくて、思ったよりもずっと時間をかけてしまいました。恩田陸さんや市川拓司さんもおなじ感じ。呼吸が合わないというのか、どうも読み進めるのに時間がかかってしまいます。

 私は原作にもっとも興味をひかれるたちで、「ICO」に関していえば、自分がゲームをするならまずゲームをやってみたかったな、というのが正直なところです。
 小説に関しては、エンディングでヨルダがいかだを押し出すシーンが、もっとも印象的です。ゲームが元だという意識がつよかったからか、普段よりもずっと、文章が映像として動いていました。小説を映像化しながら読む、という友人がいて、その話を最近よく聞いていたからかもしれません。

 さて、そして、おすすめいただいていた「マジック・フォー・ビギナーズ」を読み始めました。九つの短編が収録されていますが、今は四つめの「石の動物」を読んでいます。
 非現実をとうぜんの現実として書いていて、なんとも言えない空間に立たされている気分です。
 特に、「石の動物」はどうしようもない気持ちの悪さもただよっていて、一気に読んでしまうと気分が悪くなりそうな気がしています。気持ち悪さのある小説、というと、私のなかでは小野洋子さんや吉田修一さんが代表格なのですが、そことも系統がちがう感じ。

 私は、日本人の恐怖と外国人の恐怖は根本的なところがちがうと思っていて、日本人の恐怖は、害はないけれど目の前にたたずまれる恐ろしさ(夜道にだれかがぼーっと立っているとか、追いかけてくるだけで襲ってはこないとか)、そして、外国人の恐怖は、害があるのにその主が見えない恐ろしさ(ポルターガイストなど)、に分けられるのかな、と思っています。もちろん、必ずしも二分できるわけではないけれど、確実に、恐怖の種類はちがうと信じています。
 「石の動物」は、その、日本人は描かない種類の恐怖が全面に押し出されてる感じ。だから余計に、感じたものをうまく吐き出す方法がわからなくて、気持ち悪さばかりがつのってくるのかもしれません。

 さて、そして、推薦で本をおすすめいただき、ありがとうございます。今の時点でかなり積読本がたまっている状態なので、読み始めるのはかなり先になってしまうとは思いますが、のんびりとお待ちいただけると幸いです。