メモ
2008.04.14
 「マジック・フォー・ビギナーズ」の持っているものをどうにか言葉にしてみたいのだけど、なかなかたどりつきません。

 現実における非現実であるはずのものを、現実とフラットにつながっているかのように描写されてしまうことが、たぶんこのズレた感じの原因なのだと思う。
 ケリー・リンクは、雨が降り出したのでだれもが傘を開いた、と言うのと同じ流れで、猫の皮を剥ぐとなかには王子がいた、と言い出す。翻訳という幕越しだから非現実感が薄れてしまっている、という可能性も考えたけど、たぶんそうじゃない。リンクには、あたまっから、現実を書こうという意思がない。なんの疑いもなく、非現実を書くことだけが、唯一とうぜんの行為だと感じてるんじゃないかと思う。
 作者のそんな意識がにじみだして、あまりにも現実くさい非現実が、展開されていくのかもしれない。