6月に入ってからようやく2回目のメモです。もうちょっとこまめに書きたいところですが…今読んでいる「きけ わだつみのこえ」が、感想を書くような本ではないことも一因かもしれません。
とはいえ、2日に読み終えた「ぼくのキャノン」の感想は、引き伸ばし過ぎました。でも、その分消化できた気もします。
購入したのが去年の9月で、そのころは気になる本をとにかく買い集めていた時期でした。しばらく後になって読もうかな、と手にとったとき、どうしても文章が受け付けなくて20ページも進まないうちに一度読むのを止めました。正直なところ、文体も確認せず買って失敗したな、と思ったのです。
それでもせっかく買ったんだから一読はしておこう、と再度手にとったのが先月のこと。やっぱり苦手かもしれない、とは思いつつ、あまり最初の印象に流されたくなくてなるべく以前のことを忘れて読み進めました。最初に読んだときに拒否反応が出たのは、登場人物紹介でのマンガのようなキャラクター付けに大きな原因があったことも自覚していたので、そこを読み飛ばして本文だけに集中するようにして。
まず読み始めでは以前ほど読むのが苦痛ではないと思い、50ページも読んだころには、面白いかもしれない、に変わっていました。
こらえきれないほど切なく、同時に大切な物語だと感じたのは、平和なはずだったキャノンの村に影が落ちだしたとき、そして、主人公である雄太の祖母・マカトが過去を語りだしたとき。特に、マカトと共に村を守っている樹王の存在の理由を知ったときにはとてもつらかった。
この小説では、さまざまな犯罪が起こります。私はどんな状況であってもそれを認めようとは思わないけれど、同時に、この小説に描かれているものを否定することはできません。それは、強者が弱者をいさめるような、平和な日本に住む人間が対立の理由も知らずに戦争は悪だとやみくもに言い張るような、そんな傲慢さだと思うからです。戦争を肯定は絶対にしないけれど、どんな背景があるのかも理解せず、経緯も知らず口を出すことはできないと、近頃は考えるようになりました。
「ぼくのキャノン」はとても痛ましくて、悔しくて、憤ろしくて、そして、それでも未来を見ている小説です。
語り口は軽妙で、主人公は子どもたちで、出てくる登場人物は確固とした役割付けをされていて現実味が薄く、苦手に感じる方は多いのではないかと思います。特に、普段重厚な小説を読みなれている読書家には(それは、自身も含めてです)。
けれど、役割付けされた登場人物を通して、リアルで生々しい人物像が透けて見える、少ないタイプの小説だと私は感じています。多くの人に読んでみてもらいたい本です。
さて、おすすめいただいている「魂の光景」ですが、書店に入荷されたと連絡がありました。月曜日にでも取りに行ってこようと思います。実際に読み出すのは「きけ わだつみのこえ」を読み終えてからになりますが、もうしばらくお待ちくださいませ。
「きけ わだつみのこえ」は、気に留まった部分に線を引きながら、ようやく5分の3ほどまで読み進めました。
とはいえ、2日に読み終えた「ぼくのキャノン」の感想は、引き伸ばし過ぎました。でも、その分消化できた気もします。
購入したのが去年の9月で、そのころは気になる本をとにかく買い集めていた時期でした。しばらく後になって読もうかな、と手にとったとき、どうしても文章が受け付けなくて20ページも進まないうちに一度読むのを止めました。正直なところ、文体も確認せず買って失敗したな、と思ったのです。
それでもせっかく買ったんだから一読はしておこう、と再度手にとったのが先月のこと。やっぱり苦手かもしれない、とは思いつつ、あまり最初の印象に流されたくなくてなるべく以前のことを忘れて読み進めました。最初に読んだときに拒否反応が出たのは、登場人物紹介でのマンガのようなキャラクター付けに大きな原因があったことも自覚していたので、そこを読み飛ばして本文だけに集中するようにして。
まず読み始めでは以前ほど読むのが苦痛ではないと思い、50ページも読んだころには、面白いかもしれない、に変わっていました。
こらえきれないほど切なく、同時に大切な物語だと感じたのは、平和なはずだったキャノンの村に影が落ちだしたとき、そして、主人公である雄太の祖母・マカトが過去を語りだしたとき。特に、マカトと共に村を守っている樹王の存在の理由を知ったときにはとてもつらかった。
この小説では、さまざまな犯罪が起こります。私はどんな状況であってもそれを認めようとは思わないけれど、同時に、この小説に描かれているものを否定することはできません。それは、強者が弱者をいさめるような、平和な日本に住む人間が対立の理由も知らずに戦争は悪だとやみくもに言い張るような、そんな傲慢さだと思うからです。戦争を肯定は絶対にしないけれど、どんな背景があるのかも理解せず、経緯も知らず口を出すことはできないと、近頃は考えるようになりました。
「ぼくのキャノン」はとても痛ましくて、悔しくて、憤ろしくて、そして、それでも未来を見ている小説です。
語り口は軽妙で、主人公は子どもたちで、出てくる登場人物は確固とした役割付けをされていて現実味が薄く、苦手に感じる方は多いのではないかと思います。特に、普段重厚な小説を読みなれている読書家には(それは、自身も含めてです)。
けれど、役割付けされた登場人物を通して、リアルで生々しい人物像が透けて見える、少ないタイプの小説だと私は感じています。多くの人に読んでみてもらいたい本です。
さて、おすすめいただいている「魂の光景」ですが、書店に入荷されたと連絡がありました。月曜日にでも取りに行ってこようと思います。実際に読み出すのは「きけ わだつみのこえ」を読み終えてからになりますが、もうしばらくお待ちくださいませ。
「きけ わだつみのこえ」は、気に留まった部分に線を引きながら、ようやく5分の3ほどまで読み進めました。