メモ
2008.06.30
 ほぼ一ヶ月をかけて、「新版 きけ わだつみのこえ」を読了しました。ここ半月ほど新しいことに挑戦中で、そちらに注力していたら読書がずいぶんおろそかになっていました。一点集中しすぎるのは昔からの悪癖です。
 今日、空いた時間を利用して欲しい本の整理をしていたらざっと数えて170冊ほどあって、やっぱり本は毎日きちんと読んでいかないととても間に合わない、と再確認しました。同時に、読書熱も低温から平熱程度に復活したので、来月はもう少しまともな読書生活を送れると思います。
 ちなみに、積読本がおよそ80冊あるので、未購入の170冊とあわせて今読みたい本は250冊ほど、ということになります。きっとこれらすべてを読めるのは、どんなに早くても三年以上先だと思います。無理せず気長に行こうと思います。でも、あんまりのんびりしすぎるとフラストレーションが溜まってしまうので、コンスタンスに。

 戦争というのを意識したのは中学生のころのこと。終戦記念日を覚えたのもそのころで、なにがきっかけだったのかは残念ながら覚えていない。ただ、それからずっと、私にとって戦争というのは考えるべき大きなテーマのひとつであり続けている。
 「きけ わだつみのこえ」というのは、日中戦争から太平洋戦争にかけての時期に戦争で亡くなった学生の手記・手紙・日記などをまとめたもの。今大学生である私と同年代の方がほとんどで、とても距離を近く感じながら読んでいた。自分と似ている部分、あまりにも痛ましいと思う部分、その考えに驚いた部分(私のイメージしていた日本軍兵士の思想とは違った部分)、気になったところにはとにかく線を引きながら、ゆっくりと時間をかけて読了。

 74名の手記が載っていて、もちろんそれぞれに考え方も書いていることもちがう。あとがきにもある通り、彼らが書いた手紙はすべて検閲の対象であったはずだし、言葉の額面がすべて彼らの考えたことそのままではないのだと思う。
 それでも、何人かが共通して語っていることは、日本軍のために死ぬことはしない、祖国と父母やきょうだい、愛する人のためになら死んでゆけるということ。私には、何人にも共通して語られたこの思想がとても印象深い。これもやはりあとがきに書かれていることだけれど、「きけ わだつみのこえ」には、戦中の日本の軍国教育に染まりきってしまうことなく自分の思想と知性を守り抜こうとした人々の手記が特に集められている。だからこそ、このような考え方が多く見受けられるのだろう。

 もう一つ、自分も創作に多少は係わっている人間なので、短歌や詩には強く反応していた。ひとりの学生の絵も収められているのだけれど、日記などとはまた違ったかたちで、当時の彼らの思想や思いが伝わってくる。

 ようやく読み始められる「日野啓三自選エッセイ集―魂の光景」も、はからずも太平洋戦争時の話から始まっていた。偶然ではあるけれど、こういう流れのなかで読めてよかったと思う。
 おすすめ、ありがとうございました。遅くなりましたが、明日から本格的に読み始めようと思います。