メモ
2008.09.27
 「スカイ・イクリプス」を読了したあとに読み出していた「わたしを離さないで」を、昨日夜遅くに読了しました。おすすめ、ありがとうございました。

 主人公キャシーが過去を振り返るかたちで綴られてゆく、彼女と彼女の周囲の人々の生活、人生、日々。解説でも触れられている通り、予備知識がなければないほどこの本を読むことは素晴らしい読書になるだろう。そんな小説であるこの本について詳しい感想を語ることはできない。それは、永遠に心に残っていくだろうと思えるほどの大きな存在感と重みを与えてくれたこの小説に対する裏切り行為にあたると思う。
 キャシーたちの日々やその存在そのものは、読み手によっていかようにもその姿を変えるのではないか。そして、どのように彼女らを受け止めるかは、読み手その人の思想、感情、考え、生き方、その他その人らしさと呼べるもののすべてを反映するのではないかと思える。読み終えることでは終わらない物語が、この本のなかにはつまっている。ページを閉じたとき、きっと読み手のなかではなにかが始まる。
 できればなにも考えず、ただ手にとってみて欲しい。ひたすら読み進めてみて欲しい。それをお願いすることしか、この本が与えてくれたものに対する恩返しの方法が思いつかない。

 沙々雪を運営していて推薦にて本をおすすめ頂くたびにうれしくなりますが、やはりそのなかでも、この物語に出会うという幸運を与えていただいたことにただただ感謝の思いでいっぱいになるという本があるます。「わたしを離さないで」はそういう本の一冊でした。おすすめ、心からありがとうございました。

 今は、おなじくおすすめ頂いているエマノンシリーズを読んでいます。絶版本のようで、図書館で借りてきました。シリーズ4冊のうち残念ながら3冊までしか蔵書がなかったのですが、楽しみながら読もうと思います。
 エマノンシリーズを読み終えたら、yom yomの最新号を読むつもりでいます。