メモ
2006.10.26
 賛否両論あるのは当然な小説ですが、私は心が動きました。好きや嫌いとは違う次元の感覚です。私自身がルイとかぶる部分があるからです。「Sの人の相手をする時、」という描写、私とルイの感覚は同じです。痛いのは好き、でも血は見たくない。
 この小説は処女作で、処女作に重厚なストーリーだとか明確なテーマだとか方向性を求める方が、間違ってると思うのです。解説で村上龍が言っていますが、十代にしか、二十代にしか書けない小説というのは間違いなく存在していて、後になっては絶対に取り返しのつかないそれを、こんなにもためらいなく書くなら、それだけで金原さんは小説家として生きるの意味があると思うのです。
 発売したころから「アッシュベイビー」が気になっていたのですが、文庫化したら読んでみようと思います。