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『ロード・オブ・ドッグタウン』
 1970 年代、カリフォルニア州の海岸に位置する寂れた街、通称ドッグタウン。ここから生まれ、スケートボードのスタイルを確立したスケートボードチーム「Z-BOYS」の実話をもとに映画化した。サーフィンとスケートボードに明け暮れた Z-BOYS のオリジナルメンバー、トニー、ステイシー、ジェイを中心にストーリーを展開する。

 私はスケートボードを知らないし、サーフィンも知らないし、トニー・アルバ、ステイシー・ペラルタ、ジェイ・アダムズの(当時のスケーターたちにあって “神” であっただろう彼らの)名前も知らなかった。それでも、自分でやることも観に行くこともなくて、それでもエクストリームスポーツには根本的に惹かれる性質を持つ私にとって、観て間違いのない映画だった。

 ボードスポーツが好きな三人の少年が、新しいパーツが生まれることでスケートボードの可能性が広がったちょうどその時代に居合わせ、そしてそれまでになかった滑りを見出してゆく。
 周囲の大人に食い物にされながら、子供の悩みも抗えない境遇も大人社会のやり過ごしにくさもすべて背負って、それでもただ好きなことを好きな時に好きなように、そしてそれだけでやっていけるようにと闘い続ける。やがて互いに道を変え、離れていっても、それぞれに滑ることだけはやめないでいる。なぜ。それが彼らの生きるということだからだ。

 トニー・アルバとステイシー・ペラルタが実際に代役として滑るシーンがあり、ステイシーは脚本も担当している。焼けた太陽の光でざらついた映像がどこかドキュメンタリーフィルムの匂いも付け加え、カメラマン自身が俳優たちと併走して撮影することでスピード感をフルに引き出す。
 Z-BOYS が作り上げたスケートボードはただ滑るだけでなく、スピードと動き、そして音楽とファッション、すべてを融合したものだ。この映画は、もちろん 100% ではないにしろ、それをできうる限り最大限に再現している。水不足の夏に水の抜かれた民家のプールに忍び込んでプールの丸みを滑るシーン(YouTube)の興奮と映像的美しさは、彼らのすべりとこの映画の両方を象徴している。

 ステイシー・ペラルタが監督を務めた『DOGTOWN & Z-BOYS』というドキュメンタリーがある。こちらもいつか観ることにする。
2005 年 | アメリカ | 107 分
原題:Lords of Dogtown
監督:キャサリン・ハードウィック
キャスト:エミール・ハーシュ、ジョン・ロビンソン、ビクター・ラサック、マイケル・アンガラーノ、ニッキー・リード、ヒース・レジャー、レベッカ・デモーネイ
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2012.06.14