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『ズーランダー』
 世界的に大ヒットした映画の名シーンを俳優本人が再現した写真17枚 という記事を見た。『羊たちの沈黙』や『つぐない』、『ジュラシック・パーク』に『マトリックス』と好きな映画、懐かしい映画が並ぶなか、タイトルすら知らなかったのが『許されざる者』と『ズーランダー』だった。『許されざる者』もいずれ観ようと思っているけれど、なにしろ居並ぶ写真のなかで『ズーランダー』のインパクトが一番強かった(写真)。
 調べてみてこれがコメディ映画だと知り、普段コメディを避けて通っている私は躊躇し、けれどジャンルというのは作品に出会うためのものであってジャンルを理由に作品を避けちゃいけないと自分をなだめ、最初にベン・スティラーの再現写真を見た時のインパクトを信じて記事を見たその日のうちに DVD を借りてきた。

 いやはや、観てよかった。面白かった。「コメディに対する見方が変わった!」とか「他にもコメディ映画を観てみたい!」とかそんなことは一切言わないけど、こういう映画だって観ていかなくちゃ長い映画生活の息は続かない。

 主役は男性モデル界のトップ、けれどそろそろ下り坂のデレク・ズーランダー。頭のなかはカラッポでアホのマヌケで、それが理由でモデル界の陰謀に巻き込まれてしまう。何もかもがコメディの王道である誇張、茶化し、パロディ、お約束の連続で、けどそのどれもがうまーくハマり続けていくものだから、終始にやにやしっぱなし。
 コメディアンっていうのは確かな観察力と深い洞察力、そして完璧な演技力がないとやってけないもんなんだと改めて思う。最近の邦画がお笑い芸人の役者としての演技に助けられてるのだってそういうことだろう。

 迷わず観ろ! とかそういう面倒なことは言わないけれど、ちょっと疲れてるときにつくづくアホな笑いで体の力を抜いたっていいじゃないか。

 ところで、最後のショーシーンの観客のなかに『ディナーラッシュ』に料理評論家として出ていたサンドラ・バーンハードがいたのが個人的なくすっとポイントだった。あまり俳優の顔を覚えない私だけど、この人は一発でわかる。
2001 年 | アメリカ | 89 分
原題:Zoolander
監督:ベン・スティラー
キャスト:ベン・スティラー、オーウェン・ウィルソン、クリスティーン・テイラー、ウィル・フェレル、ミラ・ジョボビッチ、ジュリー・スティラー、デビッド・ドゥカブニー、ジョン・ボイト、ウィノナ・ライダー、ナタリー・ポートマン、キューバ・グッディング・Jr.、スティーブン・ドーフ、ビンス・ボーン、クリスチャン・スレイター、デビッド・ボウイ、レニー・クラビッツ、ビクトリア・ベッカム、フレッド・ダースト、クラウディア・シファー、パリス・ヒルトン、ドナテラ・ベルサーチ
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2012.05.13