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ピックアップ10冊 2006年
2006 年に読んだ本のなかから特に印象的だったものを 10 冊ピックアップしてみました。
明確な順位をつけたわけではありませんが、ざっくりと上の方がより面白かったものです。
番号が ピンクのものは小説緑のものは小説以外 です。

01『スノードーム』 アレックス・シアラー
哀しく、醜く、けれどこころと愛の美しさそのものを描いた小説。アレックス・シアラーが書くものは児童向けの作品が多いけど、これはそのくくりに入りきらない。装幀も素晴らしい。
02眠れるラプンツェル』 山本 文緒
ひとりの女性が、自分の人生を始めるまでの物語。主人公の汐美はとても愚かで呆れるほどなんだけど、私にはどうにも愛おしくてたまらない。山本文緒さんは特別好きな作家じゃないけど、この本だけは特別。
03『青空のルーレット』 辻内 智貴
地上数十メートル、ビルの窓清掃で生計を立てながら夢を追う人々の物語。この小説、とにかく登場人物みんながかっこいい。この本を読まずにおくなんてもったいないと、心からそう思う。
04『蛇にピアス』 金原 ひとみ
処女作だけあって、バランスは悪いし読み手は選ぶし、万人に薦められる小説ではとてもない。のだけど、私の心の深いところにちくんと刺さった。ひとりの女の愛情と性の形。
05『流れ星が消えないうちに』 橋本 紡
幼くて、その分真剣な恋や感情をていねいに綴っている。いつまでもてのひらで包んでぎゅっと握っていたくなるようないつかの思い出を、ゆっくりと見つめ返して飲み込んでゆく、そういう苦しさと切ない懐かしみがある。
06『塩狩峠』 三浦 綾子
生きるということそのものをテーマに取った小説だと思う。読み切っても解釈することができなくて、いつまでも主人公がした選択について考えていた。面白いからというより、結末に関する議論がしたくてひとに薦めたくなる本。
07『FINE DAYS 恋愛小説』 本多 孝好
短編集。「眠りのための暖かな場所」という一編がいい。あっさりした文体で簡単に読めるのだけど、漂うほの暗さにわずかに身がすくむ。でも、じっとりとしつつも決して後ろ向きではない。力強さを感じるエンディングが好き。
08『月の影 影の海 十二国記』 小野 不由美
中華風ファンタジーティーンノベル。「面白い」という評判はよく聞いていたけど、確固とした独自の世界観や魅力的なキャラクターの立ち方に私も見事にはまってしまった。ぐいぐい読ませる力がすごい。シリーズ続巻あり。
09『冷血』 トルーマン・カポーティ
カポーティが一家四人惨殺強盗事件を追ったノンフィクション。執念的とすら言える綿密さで事件の逐一が描写されてゆく。思わず目を見張り、引き込まれて読んだ。
10『爆笑問題の「文学のススメ」』 爆笑問題
爆笑問題のお二人が作家を招いて対談するというものなんだけど、正直その本編部分よりも合間に挿入される太田光さんと児玉清さんの対談の方がぐっと面白かった。読書家としてのお二人を知ったきっかけとして思い出深い本。
2011.06.01