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ブックカーニバル in カマクラ 2013
 6 月 9 日(日)に開催されたブックカーニバル in カマクラの一箱古本市に行って来ました。ブックカーニバル自体は本にまつわる方々のトークイベント「本談会」やおはなし会なども開催していたのですが、時間がなく一箱古本市を回っただけになってしまいました。
 会場は六地蔵から長谷までの間に三箇所です。さくさく歩けば 15 分程度の距離なんですが、鎌倉は魅力あるお店が多いので、何度も行ったことのある私は一箱古本市だけを目当てにずんずん歩きましたが初めて来た方はあちこち寄り道したくなると思います。
 第 1 会場の由比ガ浜公会堂では一箱古本市とおはなし会、第 2 会場の長谷公会堂では一箱古本市、第 3 会場の古民家スタジオ・イシワタリでは「本談会」を開催していました。
 買ってきた本を中心に、以下つらつらと、買った順に感想です。

第 2 会場 長谷公会堂出店者
 (ブックカーニバル in カマクラ公式サイトへリンク)

もぐらの五郎助 今回最初に買ったのはコレシカ書店さんのオリジナル絵本。店主である榎元久宰さんがご自分で制作された絵本とポストカード、そして古本を売っていて、私は数種類あった手製絵本のなかで『もぐらの五郎助』を購入。優しくて不思議で、いい雰囲気。
 絵本を買うとポストカードをプレゼントとのことで、3 種類あったなかから 1 枚選んだ。さらに名刺もくださって、「糸がほつれたりしたら直しますので」とのこと。


ANIMAL HOUSE 動物ものには弱い。バリエンさんで買った写真集には、ビールグラスに首を伸ばすカタツムリとか頭をかかえるわんことか、動物たちの面白い一瞬がたくさん。
 「『ライフ』っていう雑誌の写真を集めたものなんですよ」と店主さんに声をかけていただいて、そのまま購入。はさんでもらったしおり型ショップカードが愉快。「バリエン」と書かれた右肩にいるのは、すんごい笑顔のバレリーナ。


ツバメ活版堂+北極書店 活版印刷で作ったグッズがものすごくかわいいツバメ活版堂さん。活版印刷は手触りのあるところが素晴らしいと思う。触れるものが好き。並んだ 10 種類くらいのポストカードから、四十雀の印刷されたもの(写真右)を選んだ。
 購入したら、相席で出店されてる北極書店さんの小冊子(写真左)もあわせて袋にいれて下さった。


百年の食卓 books moblo さんと三福文庫さんの特別企画「島 ZINE」。今回、どうしてもこの『百年の食卓』が欲しかった。「モブロさんのツイッターで(『百年の食卓』を)知って、これが欲しくて真っ先に長谷公会堂に来たんです」と店主さんに言ったら、「あれ書いたの私なんです!」と。
 沖縄で 100 年近く生きてきたおばぁとおじぃの作るごはんのこと、そして暮らしのこと。写真もたっぷりで、おばあちゃんっ子の友人に見せたら「ちょっと泣けてきた」と。


てぶくろ つきとかえるさんでは、ウクライナの絵本を。最近ロシア・東欧あたりの絵にやたらと惹かれるのは、不忍ブックストリートで Mitte さんに熱く語って頂いてから。つきとかえるさんでは店主さんが小さい女の子に凧の絵本を熱心にすすめていたのが印象的だった。


BUENOS AIRES 以前 books moblo さんでも見かけた、world & sons. Bookseller さんの旅行 ZINE。ご夫婦で 3 年半世界中を旅した時のブログを ZINE にまとめたものだとか。A4 より一回り小さなサイズに、たくさんの写真と文章。「一番印象的だった国はどこですか?」と聞いてみて挙がったうち、映画『ブエノスアイレス』(ウォン・カーウァイ監督)が好きなのもあって、ブエノスアイレスを選んでみた。
現在 vol.13 まで出ている。ゆっくり全冊集めたくなる魅力にあふれたシリーズ。


春琴抄 長谷公会堂の真ん中をどどんと占めていたヌマ伯父さん文庫。2 冊購入して、1 冊目は『春琴抄』。昭和 55 年の復刻版なのでとってもお安く、即決。『春琴抄』はあまりに好きな小説で、不忍ブックストリートでも 1 冊買ったし、見かければとりあえず買ってしまう小説になっている。
 表紙にいろいろ写り込んでいますが、気にせず。左上の赤ぽちは値札シールで、赤=500 円。


走馬燈04 これもヌマ伯父さん文庫で。ぱらぱらっとめくってみたら漫画が多めの雑誌で、「あ、これたぶん変な雑誌だ」と思って思わず購入。この「変」はとてもいい意味での褒め言葉。


コケーシカ コケーシカさんではポストカードを 3 枚。手軽に買えてかさばらなくて、しまってよし飾ってよし使ってよし、のポストカードは大好き。文具店では最近いいのに当たらないけど、一箱古本市は面白いポストカードを出してる店主さんが多くてうれしい。クリアポケットに入っているなかから好きなものをすっすっと抜いていったら 3 枚中 2 枚はキリル文字が入っていて、ほんとにロシア・東欧に対する反応レベルが上がっているなと実感。左端のは子供とトナカイの絵柄なのだけど、表にはソ連のマーク(槌と鎌のあれ)入りで、しかも使用済み。本文も宛先もなにもかも読めないけれど、誰かから誰かに出されたハガキが巡りめぐって自分の手元に来るというのはとても楽しい。


疲れすぎて眠れぬ夜のために 会場に入ってすぐのところに出店していた BON BON FACTORY. さん。1 時間ごとにテーマを変えて一テーマにつき 3 冊を売るという面白いスタイル。私が到着した時のテーマは「男と女」で、その時目にとまったこの本が帰り際に覗いても残っていたので、「じゃあ縁だな」と思って購入。自分で「眠られぬ夜に」という小説を書いてから、この手のタイトルにはもれなく反応してしまう。



第 1 会場 由比ガ浜公会堂出店者 (ブックカーニバル in カマクラ公式サイトへリンク)

塩の水のほとりで 姉妹書林さんでは「アイルランド作家」というところに惹かれて『塩の水のほとりで』という小説を購入。ご姉妹おふたりで店番をされていて、ちょっと独特の雰囲気を感じたり。
 今振り返ると、おふたりの雰囲気に誘われて、この女性の横顔が表紙の一冊を読みたいと思ったのかもしれない。


紀州 古本 T さんでやっていた「闇鍋本」。全体がくるまれてタイトルも著者もわからないなか、書き出しの一行だけが明らかにされた状態で本を選ぶ。物色していたら「なかみは全部比較的最近の小説かエッセイです」と声をかけて頂いた。
 かごのなかに 6、7 冊用意されたなかで「紀伊半島を六か月にわたって廻ってみる事にした。」という書き出しの本を購入。同じ書き出しの本がまた闇鍋本として出ることはないだろうと思うのでネタばらしすると、中上健次の『紀州 木の国・根の国物語』だった。
 つい最近沙々雪でおすすめしてもらって初めて知って読んで、読んだから目にとまるようになったのかツイッターでも不忍ブックストリートで買った雑誌でも最近やたらと名前を見かける中上健次。ここでも出会ってしまった。こういうことがあると思わずにへらっとしてしまう。
 自分が物色を始めたら右から左から闇鍋本に手を伸ばす人が現れて、ちょっと楽しかった。


夢の中のセバスティアン 思わずにやっとする、いい感じにマニアックな本が多かったかつら領域さん。買ったのは、ZINE というか冊子というのか、「夢の中のセバスティアン」(写真左)。ゲオルク・トラークルの全集からの編訳とのこと。きれいな表紙に何度も手にとっては戻してみて、を繰り返していたら、「表紙は和紙で全部柄が違うんですよ」と声をかけて頂いた。言われて見比べてみると確かに違う。細い青い糸で綴られた美しいつくりにも惹かれてあれこれひっくり返して 1 冊を選んだら、「かつら領域」という店名と一緒のフリーペーパーをつけて頂いた(写真右)。
 「かつら」というのは店主さんの飼い犬だそうで、真っ黄色の表紙に楽しい絵の「かつら領域」。けど表紙には「かつら、ボストンテリアの最長寿領域 15 歳の大往生を記念す」と書いてあった。
 ふ、とせつなくなって、でも 2 冊を並べると「夢の中のセバスティアン」の繊細ではかない雰囲気と「かつら領域」のぐいぐ前に出てくる感じのギャップに結局笑ってしまった。
 あと、私が「夢の中のセバスティアン」を選んでいる横で店主さんが『ヴァルーナ』という小説を熱心に他のお客さんに薦めていて、こっそり一緒に聞いていた私もものすごく読みたくなってしまったのだけど、結局『ヴァルーナ』はそのお客さんがお買い上げに。私は別ルートで手に入れることにする。


全ての装備を知恵に置き換えること 「夢の中のセバスティアン」と一緒にかつら領域の店主さんに差し出してしまった、『全ての装備を知恵に置き換えること』。失礼しました、よく見るとお店によって敷き布が変えてありました。こちらはどんぐりと駄々猫さんの本。
 22 歳で北極点から南極点までを人力で踏破した著者のエッセイ。タイトルにガンとやられてしまって、ろくすっぽ中身も見ないまま買ってしまった。でも、いい本との出会いなんてそんなものだとも思う。
 ちなみにここはどんぐり書房さんと駄々猫舎さんの合同出店だったんですが、駄々猫さんの店主さんが書いたブックカーニバル in カマクラの感想が端的で的確で読み応えあり。


賃貸宇宙 wakotozzakka さんを見ていたらちょうど面出しで一番前に陳列されて、よさそう、と思って手にとってぱらっとめくったら全裸の男女が複数人絡まりあって寝てる写真にぎょっとして、「ああこれは私はアテられてしまいそう」と思って元に戻して、それでも結局気になって気になって 2 度、3 度 wakotozzakka さんの前に舞い戻って結局購入した。二の足を踏ませる本は面白いはず。大変かもしれないけど。
 友人はこの本を知っていて「大判のやつがあんだよね、欲しいんだけど高くて手がでなかったんだよね」と。
 これが図鑑サイズになったらさぞ圧巻だろうな。ごった煮、ぐちゃぐちゃ、きれいもきたないもぜんぶこのなか。まさに宇宙。


俳句写真biblio mouton さんにて。とある男の作った俳句を、冬の逗子海岸に大書したり鉱石と一緒に箱に詰めたり。最近俳句が気になるので何種類か重ねられてるのをふんふんと見ていたら、「合成じゃなくてシートを切り抜いて貼ったり浮かべたりしてるんですよ」と。「えっ」と思って見返したら、確かに浴槽に文字の影が落ちていた。話を聞いたら一気に面白くなって、4 種類を頂いて来た。俳句を配置して写真に撮ったのは店主さんだけど、俳句を作った男は昨年他界したとのこと。
 この 4 枚ください、と言ったら手作りの「新聞バッグ」に入れて渡して下さった。全部紙、なのに紙袋というより確かにバッグ。柄はキャンベルのスープ缶。めちゃくちゃ手の込んだつくりをしていて、包装紙は基本的に廃棄の私もこれは捨てられない。
 「俳句のススメ」という、この俳句を作った男の小さな略歴も載った A4 いち枚を折った小冊子も頂いた。


AN ALPHABET of ANIMALS 遅れて会場に到着した友人が物色するのを待っている間、どこをというでなく会場を眺めていたら、TRIAD design さんの背後の窓の桟に置かれているのを発見。「それも売り物ですか」、と聞いたら手渡してくださった。
 ようするに A to Z で動物を選んで描いた典型的な ABC 絵本なのだけど、この絵がとにかくかわいくかつかっこいい。しかも布装幀。値段を探したら本日一番の高値だったけれど、返せるはずもなくそのまま購入。大満足。動物には弱い。


 全体の印象として、自分の読んだ本を持ってきている店主さんより自分で ZINE や冊子などを制作している方がすごく多いなと感じました。購入には至りませんでしたが、豆本もあちこちのお店で見かけました。
 ツイッターでもつぶやいたことですが、ゴールデンウィークに行った不忍ブックストリートの一箱古本市と比べると「不忍ブックストリートの店主さんたちはアマチュア読書家のプロという感じ、ブックカーニバル in カマクラの店主さんたちは本作りのセミプロという感じ」。
 品物を買うとオリジナルの紙袋に入れていただくことがすごく多かったし、店舗カードや名刺を持ってらっしゃる店主さんも多かった。ただの本読みが今日だけ古本店店主、ではなくて、書店なりなんなりどこかに活動拠点を持っている人が今日はここに出張してきたよ、というのが多かったように思います。
 本好きはもちろん、雑貨好きの人が歩いてもきっと楽しいんじゃないでしょうか。

 個人的な反省点としては、午後になってから会場に到着したので「全部の箱をちゃんと回りきれるだろうか」という不安が先に立ってせかせかしてしまって、ゆっくり店主さんと話す余裕を持てなかったところ。
 一箱古本市は店主さんと話してなんぼだと思うので、買ってきたもの全部気に入ってはいますが買ったことにまつわる思い出をいまいち持ち帰ってこれなかったのがとても心残りです。
 次回があるならその時はもっとゆっくり時間を取って店主さんと話をして、もちろん一箱古本市以外のイベントや拠点にも回って、カーニバルをよりカーニバルっぽく楽しみたいと思います。今回はほんと「お買い物」になってしまったので。一箱古本市以外のイベントも楽しそうだったんですよ。

 ずいぶん長く書いてしまって、読んでくださった方はいるのかしら……と不安になりつつ、ブックカーニバル in カマクラの感想でした。
 鎌倉は楽しいところで、しかも何度行っても飽きないところです。みなさまぜひ。

ブックカーニバル in カマクラ 2013 最後に、今回のブックカーニバルで手に入った「売り物以外」を集めてみました。フリーペーパーや店舗カードなど。右下にはブックカーニバル in カマクラのチラシ。上の写真とかぶっているものも一部あります。
 なんの気なしにもらったり手にとったりしただけでこの量なので、きちんと探して持ち帰ればきっとすごい量になるはずです。これも来年の楽しみになりそう。
2013.06.11