メモ
2012.12.13
 今日、沙々雪は七周年を迎えました。
 七年という、個人的にはとても長く感じる時間を過ごしていながら、いつまで経ってもこぢんまりとしたサイトであり続けています。さみしいような、これはこれで良いような。答えは出ませんが、こんな不定期更新のサイトでもいらっしゃってくださる方がいることに感謝しきりです。本当にありがとうございます。

 ここ数年毎年言っていた「溜め込んでいるおすすめ頂いた作品を読んで、観て、感想を」という目標を、今年はようやく果たすことができました。これからは改めて気を引き締め、おすすめ頂いたらすぐに取り掛かれる状態を保ち続けてゆくつもりです。
 作品をおすすめ頂いていました皆様へ、数年間の放置というあるまじき態度を取ってしまったこと、心からお詫びします。申し訳ありませんでした。
 それでもまだおすすめの作品を教えて下さる方がいるという事実は、おおげさでも何でもなく、奇跡だと思っています。

 沙々雪が、本を読む方、映画を観る方に少しでも何がしか貢献できていればと祈るばかりです。どうぞこれからも、末永くよろしくお願いいたします。
2012.12.04
 今日、もう一度『レオポルド・ブルームへの手紙』を観て感想を少し追記しました。
 一本の映画に振り回されています。嬉しいことです。
2012.12.02
 ここのところ、映画に対する熱意の温度が低くなっています。まとまった時間をあまり取れないこともあって、映画を観たいという気持ちが起こらず、観ていても集中できないことが増えました。映像の魅力がわからなくなっているとも感じています。映画よりやっぱり本がいい、と「原点回帰」している気持ちが時間の経つほどに強くなっています。私にとって、より身近なものは本であり映画はその次という感覚は、これまでの生涯で一度も揺らいだことのない順序です。

 そして、そんな気持ちを抱えた状態で『レオポルド・ブルームへの手紙』を観て、こういう映画に逢えるんだからやっぱりたとえ観る本数は減っても映画から離れないでいよう、映画を観続けていようと思いました。

 おすすめ、ありがとうございました。
2012.11.26
 『治療者の戦争』をおすすめいただきまして、ありがとうございます。
 ハヤカワ文庫という時点でまずときめきます。ハヤカワ文庫は、読みたい本がたくさんあり過ぎてどこから手をつけていいのかわからずうろたえ続けているレーベルです。さっそく明日にでも書店で探してこようと思います。
 投稿が二重になっていましたので、片方を削除させていただきました。

 どうぞ、また何かおすすめの本がありましたら教えてください。
2012.11.19
 この小説が世に出たのは1998年で、出版時にもう目に止まっていたのだったかその後しばらくしてだったのだったかどうにも確信が持てない。けれど、文庫化を知った時に「読もう」と思った記憶がうっすらとあるから、少なくとも2002年の文庫出版よりは前に知っていたのだと思う。この文庫化に関する記憶も危ういけれど。

 さて、それからもっとも少なく見積もって十年が経っている。積読はもう私の読書生活の根と化しているけれど、それでもひどい。四年や五年のものならまだ数冊あるけれど、十年となるとこの一冊きりだ。

 そこまで寝かせた感想は、「寝かせすぎたなあ」。この本の冒頭を初めて読んだ時、私は「基督」という漢字を「キリスト」と読めなかった。そういう頃にこの麗々しい文体にぶち当たったのだから、そりゃあひるんだ。ひるんで、「いつか休日丸一日をあてて読了しよう」と思った。世界に浸かり切らないと読み通せないと思ったのだ。今の私でいうと、源氏物語を原文で読むのに挑もうとする感覚にたぶん近い。
 ひるんだ気持ちばかりが大きくなって、同時に一ページ目のほんの数行からうかがい知った雰囲気から期待もどんどん膨らんでいって、本棚のなかで際限なく「いつか読む本」=「今はまだ読まない本」になっていった。

 それ自体は悪いことじゃない。どんな本にも読み時はあるし、その読み時がまだ来ていないならそれはきちんと待つべきだ。

 でもとにかく、今回については待ちすぎた。むしろ、あの「基督」を「キリスト」と読めない時に、寸暇を惜しんで日々少しずつでもさっさと読んでおいてしまえばよかった。そうした方がたぶんずっと良かった。今の私が読んでは、古い文語体を模そうとするその文の運びが見えてしまう。内容がどうこう以前に、この文体にぽかんと口を開けられるうちに、読んでおくべきだったのだ。この文体に酔えなければ、この小説は楽しまれ方を失ってしまう。