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『マリア様がみてる 黄薔薇革命』 今野 緒雪
マリア様がみてる 黄薔薇革命
初版:1999 年 2 月 コバルト文庫
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 先輩が後輩と一組の姉妹〈スール〉となり指導してゆく制度のあるリリアン女学園高等部。全生徒が投票するベスト・スール賞に選ばれるほど仲睦まじい黄薔薇のつぼみとその妹だったが、ある日、突然の破局を迎えてしまう。

 紅薔薇、白薔薇、黄薔薇と学園高等部のトップを務める三薔薇のうち、シリーズ一巻の『マリア様がみてる』では紅薔薇がメインのストーリーだったけれど今回は黄薔薇。
 剣道部で大将を務めるほどの腕前を持つ黄薔薇のつぼみ・令と、彼女とは従姉妹であり家も隣同士の病弱な妹・由乃。絵に描いたような騎士と姫君の構図のふたりは他のどの姉妹よりも側にいるけれど、だからこそ生まれてしまった世界を変えようと、由乃は前代未聞の「妹からの三行半」を令に突きつけた。

 病弱で儚げ、可愛らしくて女の子らしい女の子、というイメージを誰からも持たれる由乃の、意外な豪気さと強さがすごく好きだった。周りの目など気にせず、慣例にもとらわれず、自分と大切な令のために必要な行動をきちんと考え、それを実行できる由乃は実に格好いい。
 彼女が最後の最後に令に吐露する長く抱えていた願いは、すごくよく分かる。頼り、頼られて成長してゆくのが友人という関係だけれど、どちらか一方が寄りかかるばかりでは友人にはなれない。幼い頃から心臓病を抱えて生きていた由乃はずっとあの想いを抱き続けて来たのだろうな、と思う。

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2011.05.03