2009 年に読んだ本のなかから特に印象的だったものを 10 冊ピックアップしてみました。
明確な順位をつけたわけではありませんが、ざっくりと上の方がより面白かったものです。
番号が ピンクのものは小説、緑のものは小説以外 です。
01『ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる』 梅田 望夫
明確な順位をつけたわけではありませんが、ざっくりと上の方がより面白かったものです。
番号が ピンクのものは小説、緑のものは小説以外 です。
01『ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる』 梅田 望夫
ここ数年でウェブはどういう変遷をたどり、これからさらにどう変わってゆくのかを語る新書。ウェブの片隅に生きる人間として、読んで面白く、また発行直後に読まなかったことを後悔もした。こういう本は鮮度が大切だと痛感。
02『ウォーレスの人魚』 岩井 俊二お伽話の人魚ではなく、人類進化の可能性としての人魚の話。生物の持つグロテスクさや生々しさを、祭り上げるでなく忌避するでなく、ただそこにあるものとして描いている。読んでいる時は脳が別世界に飛ばされていた。
03『なぜ私だけが苦しむのか 現代のヨブ記』 H. S. クシュナーユダヤ教のラビが「なぜ人は苦しむのか」「なぜ神は自分を救ってくれないのか」という問いにひとつの回答をしめす。私は神の実在を信じていないけど、この本に書かれている概念は気持ちがいいなと思った。
04『闘うバレエ 素顔のスターとカンパニーの物語』 佐々木 忠次東京バレエ団の設立者である著者が、1960 年代から 1990 年代のバレエ界を綴っている。読みやすく、なおかつ読み応えがある良書だった。バレエに関心を持っているひとにはぜひ薦めたい一冊。
05『打ちのめされるようなすごい本』 米原 万里米原さんの書いた書評がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。私は小説家以外が書く小説に関する文章に拒否反応が出るのだけど、この方の本への深い愛が感じられる文章は面白く読めた。稀有なことだ。
06『シェル・コレクター』 アンソニー・ドーア短編集。決して目を引くような派手さのある小説ではないのだけど、時々はっとするような視点が示される。自然の描写がすごくうまくて、脳裏にちらちらと映像が浮かんできた。「たくさんのチャンス」が好き。
07『海』 小川 洋子短編集。活字に乗って官能をほのめかす「バタフライ和文タイプ事務所」が好き。『博士の愛した数式』ののどかさとも『完璧な病室』のおぞましさとも違う、不可思議でありながらどこか穏やかな小川さんの世界があった。
08『溺レる』 川上 弘美短編集。アイヨクに溺れる、男と女の物語。私にはまだ見えていないのだろう世界が描かれていて、「面白い」というよりも「いつか理解したい」という思いが強い。「可哀相」と「亀が鳴く」がそれぞれ特に印象的だった。
09『限りなく透明に近いブルー』 村上 龍米軍基地のある街で享楽的な仲間たちと共に暮らすリュウ。常に観察者であり続ける彼の、一見変化の生まれない毎日。村上龍のあくの強さを好きになれない私にも、とらえどころがないのに無視できない小説だった。さすが処女作。
10『プシュケの涙』 柴村 仁夏休みに死んだ一人の少女を追う少年たち。ミステリーであり、恋愛小説でもある。文体は嫌いだし筋立ても特別好きではない。けれど、表紙の美しさと蝶や花というモチーフによって、特別な位置を占める一冊になってしまった。